今年初めての第4回は事前連絡をあまりもらえなかったので参加者は少ないかなあと思っていたが,結局は私を含めて10名の参加があった。いつも通り,呼び名とテーマを書いてもらい,それを見ながら雑談を始めた。この入り方は,きっちりテーマを決めてから議論に入るこれまでとは違うのだが,特にこうしようと決めていたわけではない。ただ,ジャムに入る前の離陸時間をできれば雑談にできたらとは思っていた。これはどんなメンバーでもできるわけではないので行き当たりばったりの予定だった。書いてもらったテーマについて,その一人ひとりと話しながら,注文したものを待つ。
ピロシキを食べたり,コーヒーを飲んだりしながら,このジャムの目的やこれまで話されて来たテーマについて説明していると,話が第1回で話された話題になった。「一人で哲学はできるか」という問いだったが,その時私は自己満足をどう打破するかという点に疑問があったので否定的だったが,その後は条件付きで可能という考えになった。その条件は,常に自己批判できる場合のみ一人で哲学可能ということだ。これはなかなか難しい条件であり,私自身も難しいと思っているので哲学ジャムのような,自他の吟味の場を作ったという話をした。
雑談も一段落したようなのでPochiさんが提出した「自己とは何か」というテーマを説明してもらう。「自分はこれまで幸せとは自分の幸せであって,他人の幸せは時には妬みの対象にこそなれ,自分の幸せとは無縁と思っていたが,この頃は周りのものが楽しくしていると自分も幸せな気分になることに気付き,自己というものの境界が不分明になってきた」のでこういうテーマを提示してみたということだった。これに対し,Iさんから自我と自己とは違うと思うという意見。自我とは「我が強い」というときの自我で,Iさんがそういうことを自覚するのは他人(ひと)の信仰の態度を見て,豊かな生き方をしていると思い,自分もそうありたいと思うが,自我が強くて自分のやりたいことを捨てられないときだそうだ。かと言って,自我が強過ぎて社会と折り合って行けないほどではないから,自我を抑える自己もまた別にあると思う,ということだった。
この後,宗教についての話がしばらく続いた。脈絡なく紹介すると,チーチャンは女性が結婚するときに人によっては仏教の宗派や宗教そのもの(仏教かキリスト教かなど)の選択を迫られるということを指摘した。ハルコさんは即身仏となるような人も迷いというのはあるのではないかと疑問を呈した。Pochiさんは西洋は一神教の世界であって,哲学の世界でも神は最も重要な考察の対象であり,そういう世界観の偏りをニーチェが「神は死んだ」という警句で示したのだという意見を述べた。日本人はそういう意味での西洋的な神の経験を持たず,むしろ自然信仰に基づく多神教的な世界の中に生きている。だから信仰を持たないと言っても西洋人の無神論者とは違う,と私。さらにNHKのテレビ番組に触れ,レヴィ・ストロースが現代日本人に野生の思考と科学技術の融合と調和を見ているとコメント。
この辺りでMさんが「限界」ということについて考えてみたいという提案。「体力の限界,能力の限界,自分の限界などと言われる。無限というものが考えられるのになぜ限界を考えてしまうのか。自分て作っている壁でしかないのではないか」とMさん。「人間の認識の発達ということを考えると数でも空間でも,無限より有限の方が認識しやすい。無限は先ずは有限の対立概念として把握され,その後「空」も無限の空間として認識可能になったのではないか」と私。それを受けて,全く別の角度からTKさんが自分の近況を語りながら,それまで自分で設定していた「限界」が限界と感じられなくなった経緯を披露。以前より積極的になったとのこと。
また別の角度からチーチャンが死を目前にした父親に自分の感謝の気持ちを伝えたときに父親が「怖い」という言葉を漏らしたという経験を語り,父親にそう言わせたのは自分ではないかという自責の念があると言う。「死が怖い」という正直な表白はなかなか他人には言えないものではないか。やはり非常に身近に感じている人間にしか言えないことだと思う。その意味でチーチャンは父親にとって最後にそれを言える存在になったということだろう。「死の恐怖」の感覚についてはPochiさんも夜中に一人目覚めたときに感じることがあると言う。その時はそばに誰もいない,暗いというのが重要で,耐えられない場合は部屋を明るくするということだった。これには同じ感覚を経験した方もいた。
以上,今回は展開に連続性,あるいは一貫性があまりなかった。これを反省点とするかどうかはわからない。いろいろな話題が出て来たことを良しとするか,一つのテーマを掘り下げられなかったことが良くないと見るか。後者の反省点はこれからのジャムで未消化の話題を展開させることで解決できることではある。
次回は3月14日を予定しています。
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