2016年11月17日木曜日

第3回哲学ジャム@函館の報告

今回は教育大の学生さんが多数参加してくれて20名ほどのセッションになりました。様々なテーマが提出されましたが,多数を獲得したのは「時間について」。提出者のTtさんにこのテーマを考えた経緯をまず聞いてみる。Ttさんの話では,年を取るにつれて時間が長く感じられてきて,後ろを振り返りながら歩いているような感じがする。その長さは嫌なことではなく,むしろ余裕を感じるのだが他の人はそういう感じを持つのだろうか,という疑問を抱いたそうだ。ここから参加者に自分の時間についての感じ方を話してもらった。

Fさんは逆に年を取るにつれて時間が短くなると言い,Krさんも子供の時は時間を長く感じたが今は随分短く感じられるとのこと。そこで短く感じられる人と長く感じられる人の割合を確かめるとほとんどの人が短く感じられるという結果だった。Pochiさんからは退屈な授業を受けているときは大人でも長く感じられるという意見が出された。つまり大人でも子供でもそのときの状況によって時間が伸縮して感じられるということになり,Thさんから長い・短いの尺度は何なのかという問いが出された。

時計で測られる均一で非人称的な時間と違い,主観的な伸縮する時間を測る尺度は何かという面倒な問題に到達した。そこでNyrさんから都会で流れる時間と田舎で流れる時間とは違うという考え方があるという話が出た。さらにNyrさんは自分が出した「見る」というテーマと「時間」のテーマがここでクロスしたことに気付き,都会で見るものと田舎で見るものとはその量に違いがあるから量が少ないと時間がゆっくり流れ,多いと速く流れるのではないかという仮説をを提起した。この仮説によると時間の長短は処理する情報量の多寡によるということになる。次はこの仮説の検証に入った。

なぜ子供の時間は長く,大人になると短くなるか:あくまでも比較の問題だが大人と比べて子供は狭い社会の中で生活している。ほぼ家庭と学校の往復の生活であるから情報量は限られる。したがって先の田舎の時間と同じでゆっくり流れるから時間が長く感じられる。これに対し,大人はより広い社会に行き,接触する組織も増え,処理する情報量も増える。したがって都会の時間と同様,速く流れ,短く感じられる。

これで一応子供と大人の時間感覚の違いは説明できたような気になったが,当初のTtさんの時間感覚は説明できるだろうか。セッションの中ではこの問題に立ち返ることはできなかったが,今考えてみると,説明できないようだ。単純に大人の処理する情報量が多いとすると,時間が長く感じられるTtさんの処理する情報量は少なくなっていないといけないからだ。セッションの中では,このような問題意識とは別にKsさんから一つの経験が話された。車で初めて行く場所に行くときには時間が長く感じられるが帰りは短く感じられるというのだ。この経験についてPochiさんから「処理が折りたたまれたんだ」ということが言われた。つまりわかったところは処理を端折られるということらしい。処理する情報量が少なくなった分,時間が短く感じられたのではないかということ。しかしこれは先の仮説と反対の結果だ。先の仮説では処理すべき情報量が少ないと時間が長く感じられるということだったからだ。しかしこの結果は「帰りが短く感じられた」というのではなく,「実際短かった」のではないだろうか。何度も同じことをすると処理速度が短くなるということ。そうだとするとTtさんの感じ方は経験の積み重ねによって(=後ろを振り返りつつ)処理が端折られることができるようになり,処理時間が実際に短くなった分,余った時間が余裕として感じられるということになろうか。

以上,報告以上の考察も加えたが,当日のセッションでは24時間開いているコンビニがあって便利な反面,そこで働いている人は時間に縛られているという話から,ミヒャエル・エンデの『モモ』に出て来る「時間泥棒」の話になったり,さらに某広告会社で自殺に追い込まれた女性の仕事の仕方の話に及んだりした。この最後の話はKnさんの「休日も働くべきか」というテーマにつながり,またOさんの「普通とは何か」やNさんの「常識とは何か」といったテーマにもつながる話だったが,今回はそれほど展開はできなかった。他に今回は取り上げられなかったテーマとして「自分とは何か」,「美とは何か」という興味深いテーマもあった。また機会があれば取り上げてみたい。

次回は来年1月17日の予定です。

2016年11月1日火曜日

第3回哲学ジャム@函館のご案内

第3回哲学ジャム@函館の日程が決まりましたのでご案内します。

日時:11月15日(火)午後6時30分より
場所:元町「まるたまスクエア」(0138-76-1379)

参加費は無料ですが,会場を提供していただく「まるたまスクエア」のいずれか一品を注文していただく必要があります。収容人数に限りがありますので,参加希望の方は下記:鎌田までご連絡ください。尚,当日話してみたいテーマを考えて来てもらえたらうれしいです。

「哲学ジャム@函館」主宰:鎌田雅年(080-3117-2990)